(22)【相続登記】数次相続で最終的な結果のみが記載された遺産分割協議書は使えるか?(先例:平成29年3月30日民二第237号)

2026年8月27日木曜日

不動産登記

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【相続登記】数次相続で最終的な結果のみが記載された遺産分割協議書は使えるか?(先例:平成29年3月30日民二第237号)

不動産の所有者が亡くなった後、遺産分割協議を行わないままさらに相続人が亡くなってしまう「数次相続(すうじそうぞく)」が発生するケースは実務上少なくありません。

数次相続において中間記事を省略して「1件の申請(中間の単独相続)」で登記を行う際、「遺産分割協議書に途中の相続過程まで細かく記載しなければならないのか?」という点は実務でよく悩むポイントです。今回はこの点に関する重要な登記先例(平成29年3月30日民二第237号)をわかりやすく解説します。

1. 結論:最終結果のみの記載でも登記可能!

結論から申し上げますと、数次相続が発生しているケースにおいて、遺産分割協議書に「最終的にGが対象不動産を取得(単独相続)する」という最終結果のみが記載されている場合であっても、それを登記原因証明情報として用いて「1件の相続登記」を申請することが可能です。

【先例のポイント】

途中の相続(中間相続)が単独相続になる旨の直接的な明記が協議書上になくても、戸籍等の関係から「この中間ルートを辿って最終取得者に至るしかない」と論理的に類推できる場合であれば、当該遺産分割協議書を原因証明情報として受理して差し支えないとされています。

2. 先例で扱われた相続関係

本先例(平成29年3月30日民二第236号)で対象となった実際の相続関係は、以下のように3段階の相続(数次相続)が重なった非常に複雑な構造です。




【被相続人Aの相続関係】

【1次相続】被相続人 A が死亡
─ 相続人:亡B、亡C、亡D

【2次相続】分割未了のまま B が死亡
─ Bの相続人:亡E、J、K、L

【3次相続】さらに E が死亡
─ Eの相続人:配偶者F、G(最終取得者)、H、I

このように、Aの不動産について協議を行わないままB・Eが相次いで亡くなり、最終的な相続人・関係者の数がかなり膨らんでいる状態でした。

3. 何が問題となり、どう処理できるのか?

このケースで、生存している全関係者(G, H, I, F, J, K, L, M, N, O, P, Q, R, S等)が遺産分割協議を行い、「甲不動産はGが取得する」という内容の遺産分割協議書を作成したとします。

  • 疑問点:
    協議書に「Bが相続し、次にEが相続し、最終的にGが相続した」という中間行程の文言が書かれておらず、単に「Gが取得する」としか書かれていない場合、登記申請(原因:年月日B相続、年月日E相続、年月日G相続)は通るのか?
  • 先例の結論:
    通る(可能)。「Gが相続する」という最終結果しか書かれていなくても、戸籍関係から見て「B → E → G」というルートしかあり得ないため、中間の単独相続が論理的に類推できるからです。

4. 実務における「類推」の考え方

従来の実務では「1件の申請で中間省略的に名義変更を行う以上、遺産分割協議書の中でも中間の単独相続の過程をしっかりと文章化して明示する必要がある」と考えられがちでした。

【なぜ類推で足りるのか?】

Gが単独で不動産を取得するためには、理論上「AからBへ」「BからEへ」「EからGへ」と中間がすべて単独相続で引き継がれていなければ成り立ちません。

各相続段階の全員が合意して「Gが取得する」としている以上、その裏には「中間はB・Eがそれぞれ単独で引き継いだ」という前提が論理的に導き出せるため、文言としての明記が欠けていても書類全体の整合性が認められるのです。

5. まとめ

数次相続における遺産分割協議書は、必ずしも中間過程の細かい帰属関係を文言としてすべて書き並べなくても、理論的に途中経過が類推でき、全当事者の合意(押印・印鑑証明書)が得られていれば最終取得者への1件申請が可能です。

過去に作成された少し大雑把な遺産分割協議書を使って後から登記を入れる場合や、複雑な数次相続案件の書類を作成する際には、本先例(平成29年3月30日民二第237号)の「理論的類推」という考え方が実務上非常に役立ちます。

カテゴリー: 不動産登記 / 相続登記

タグ: 数次相続 / 遺産分割協議書 / 相続登記 / 登記先例 / 中間省略 / 平成29年3月30日民二第236号




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