【商業登記】令和3年押印見直し後も「無効原因証書」の押印・印鑑証明ルールが厳格に維持される理由(平成24年通知)
令和3年(2021年)2月15日施行の商業登記規則等の改正に伴い、株主リストや就任承諾書など多くの添付書類において「押印の省略(審査対象外)」が認められるようになりました。
そこで実務上問題となるのが、**「抹消登記等で添付する無効原因証書についても押印が緩和されたのか?」**という点です。結論から言うと、**無効原因証書の厳格な押印ルール(平成24年4月3日民商898号通知)に変更はありません。**
1. 結論:無効原因証書の取扱いへの影響(変更なし)
押印省略(脱ハンコ)の流れが進んだ現在においても、無効原因証書については**従来通り厳格な押印・印鑑証明書の添付が必要**です。
【無効原因証書に求められる要件】
- 抹消すべき登記の申請時に添付した書面の押印と**「同一の印鑑」**を押印する
- または、**「登記所届出印(会社実印)」**を押印する
- または、**「市区町村長の印鑑証明書」**を添付した個人の実印を押印する
2. なぜ無効原因証書は「押印省略」の対象外なのか?
無効原因証書について依然として厳格な押印が求められる理由は、主に以下の2点に整理されます。
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理由①:一度適法にされた登記を「当事者の意思で覆す」重大性があるため
無効原因証書による登記の抹消は、すでに法務局で適法に完了した登記事項を後から当事者の意思によって無効化・覆すという極めて大きな法的効果を生じさせます。悪用や虚偽の申請を防ぎ、登記の真正を厳格に確保(手続の慎重性を担保)する必要があります。 -
理由②:元となる登記添付書類に「押印がない」ケースが増えたため
令和3年の見直し以降、抹消すべき元登記の添付書類(株主総会議事録や承諾書等)に「押印が一切ない」状態での申請・完了ケースが存在します。
元書類に印影がない場合、過去の添付書類との「印影照合」による真正確認ができません。そのため、無効原因証書自体に**「登記所届出印」**または**「実印+市区町村長の印鑑証明書」**を求めることで、登記官が効率的かつ確実にその真正性を確認できる仕組みにしているのです。
3. 平成24年4月3日民商898号通知の要点チェック
実務上、無効原因証書を作成・添付する際は、以下のいずれかの条件を満たしていなければ申請が受任・受理されません。
| 確認項目 | 受理されるための要件・ルール |
|---|---|
| 作成者名義の同一性 | 抹消すべき登記の添付書面の作成者と「同一人物(全員)」であること。 (※公務員作成の裁判書謄本等が添付されている場合を除く) |
| 押印の同一性・真正性 |
① 元登記の添付書類と同じ印鑑が押印されていること ② または、無効原因証書に「登記所届出印(会社実印)」が押印されていること ③ または、無効原因証書に押印された印鑑について「市区町村長の印鑑証明書」が添付されていること |
4. まとめ
令和3年の「脱ハンコ」見直しにより商業登記の多くの書類で押印が緩和されましたが、**「無効原因証書」については例外的に従来の厳格な押印ルールが維持**されています。
誤って無効原因証書を認印で作成したり、印鑑証明書の添付を失念したりすると登記申請が脚下・補正対象となりますので、実務の際は平成24年通知(民商898号)に基づいた厳密な印鑑確認を行いましょう。




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