(10)判決登記の前提として名変登記は必要?判決文に併記がある場合の取扱い(登研611)

2026年8月13日木曜日

不動産登記

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判決や和解調書に基づいて、登記権利者が単独で所有権移転登記を申請する際、実務でよく問題となるのが「被告(登記義務者)の名変(登記名義人表示変更・更正)登記が必要かどうか」という点です。

特に「判決正本や和解調書の中に、登記簿上の旧住所と現住所が両方併記されている場合」は名変登記を省略できるのではないかと考えてしまいがちです。

本記事では、この論点に関する重要登記研究(登研)の要旨と実務上の取扱いを整理して解説します。

1. 結論:判決正本等に現住所が併記されていても「名変登記」は省略できない

結論から申し上げますと、判決正本や和解調書に登記簿上の住所(旧住所)と現在の住所が併記されている場合であっても、前提としての登記名義人表示変更(更正)登記を省略することはできません。

判決による単独申請であっても、不動産登記の基本原則である「登記簿上の表示と申請人の表示の一致」が求められるためです。

【実務上のポイント】

登記義務者の住所・氏名に変更が生じている場合は、判決による所有権移転登記を申請する**前提として、まず登記名義人表示変更(更正)登記を完了させる(あるいは連体で申請する)**必要があります。

2. 根拠となる登記研究(登研)の要旨

本取扱いの根拠となる主要な登記研究(登研)の要旨は以下のとおりです。

■ 判決による所有権移転登記の場合(登研611号)

判決による所有権移転の登記を申請する場合において、申請書に添付された判決正本に登記義務者である被告の住所として、登記簿上の住所と現住所が併記されているときであっても、その前提として登記名義人表示変更(更正)の登記を省略することはできない。

■ 和解調書による所有権移転登記の場合(登研476号)

和解調書に基づき登記権利者単独で所有権移転の登記申請をする場合において、右調書上に登記名義人の表示を登記簿上の住所及びこれと異なる現在の住所とが併記されている場合であっても、前提としての登記名義人の表示変更の登記は、省略することができない。

3. 実務上の注意点と申請の進め方

・被告(登記義務者)が名変登記に協力しない場合
判決による登記申請を行う際、被告が任意で名義人表示変更登記の申請に応じないケースが多くあります。

この場合、登記権利者(原告)は判決正本(または和解調書等)を代位原因証書として、登記義務者に代位して名義人表示変更登記を申請(代位名変)することになります。

代位申請を行う際は、同一の申請書で一括申請するか、事前に代位による表示変更登記を済ませてから移転登記を申請する形をとります。


まとめ

判決文や和解調書に「旧住所(登記簿上)および現住所」の両方が記載されて裁判所で本人性が確認されていたとしても、**不動産登記の手続き上、前提の名変登記は省略できません。**

判決による単独申請を準備する際は、登記簿上の住所・氏名と判決書上の被告の表示を事前に照合し、代位による名義人表示変更登記が必要になるかどうかを必ず確認しておきましょう。




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