仮登記の権利者に相続や合併といった一般承継が発生した場合、その移転登記をどのように入れるべきかは実務で迷いやすいポイントです。
「移転だから付記の『主登記』になるのでは?」と一瞬考えてしまいますが、結論としては「付記の『仮登記』」で実行することになります。今回はこの論点と根拠先例について備忘録としてまとめます。
1. 登記簿のイメージ(登記例)
合併による移転登記が入っている場合、登記簿(乙区など)は以下のような形になります。
1 抵当権設定仮登記
権利者 甲
付記1号 1番抵当権移転仮登記
原因 令和〇年〇月〇日合併
権利者 乙
このように、主登記の移転ではなく「仮登記の移転」として付記で登記されます。
2. 実務上の論点と根拠(質疑応答)
抵当権設定仮登記の登記権利者が死亡(または法人格が消滅)し、相続や合併を原因として当該仮登記を移転する場合、本登記ではなく「付記による仮登記」で行う必要があります。
【要旨・根拠先例(登記研究597号)】
【質問】
抵当権設定仮登記の権利者が死亡し、その相続人が相続を原因とする当該抵当権設定仮登記の移転の登記を申請する場合には、附記による本登記ではなく、附記による仮登記で行うべきものと考えますが、これと異なる見解(登研491)があることからいかがでしょうか。
【回答】
御意見のとおりと考えます。
3. 実務上の注意点(抹消手続き時の注意)
この仮登記(1番仮登記および付記1号)を抹消する際、実務上特に押さえておくべきポイントは以下のとおりです。
- 対象となる登記の指定:
抹消の対象は「1番抵当権設定仮登記」の主登記(およびその付記登記)となります。 - 登記当事者(登記義務者):
すでに付記1号で移転仮登記がなされているため、現在の仮登記名義人(現在の権利者)である「乙」が登記義務者となります(または乙の承諾書を添付)。
仮登記の権利関係が承継されているケースでは、一見「本登記の付記」と勘違いしやすいため、申請用書の作成や抹消登記の前提確認時に「付記による仮登記」であることをしっかり意識しておくことが大切です。




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